東京の駒場にある日本民藝館へ行ってきました。
日本民藝館は、伝統的工芸品を主に収蔵展示する美術館です。宗教哲学者、美術研究家で民芸運動の主唱者でもあった柳宗悦によって1926年に企画され、実業家で社会事業家の大原孫三郎をはじめとする多くの賛同者の援助を得て、1936年に開設されました。
1925年、民衆の用いる日常品の美に着目した柳宗悦は、濱田庄司や河井寛次郎らとともに無名の職人達が作った民衆的工芸品を「民藝」と名付けました。
1936年に「日本民藝館」が開設されると、柳宗悦は初代館長として、様々な展覧会や調査研究を展開していきました。工芸調査や研究のための収集に日本各地を訪れました。沖縄への工芸調査、アイヌや台湾先住民の工芸文化の紹介、茶道改革など精力的に活動をされました。そして、民藝運動に参加したバーナード・リーチ、濱田庄司、河井寛次郎、芹沢銈介、棟方志功、黒田辰秋などの工芸作家は、実用を離れた当時の工芸に新しい在り方を提示し、反響を呼び、日本の近代工芸界に大きな流れを作っていきました。
この本館(旧館)と道路に面した石塀は、1999年に国の有形文化財に登録されたそうです。
そして日本民藝館は大展示室を中心に改修が行われました。それは柳宗悦が設計したやり方を受け継ぎ、葛布や大谷石といった自然素材を用いて展示品がより美しく見えるように考えられています。
展示品の情報を掲載しているキャプションにも柳宗悦のこだわりが紹介されていました。観る人が情報ばかりに気を捕らわれず、そして展示品に調和したデザインになるように考えられたそうです。全てのキャプションは漆塗りの小さな札に朱色で文字を入れたシンプルなもので統一されています。
そして本館道路向いに建つ西館(旧柳宗悦邸)は、栃木県から移築した石屋根の長屋門と、それに付設した母屋からなっているそうです。日本民藝館開館1年前の1935年に完成し、72歳で亡くなるまで、柳宗悦が生活の拠点とした建物だそうです。
西館は展覧会開催中の第2水曜、第2土曜、第3水曜、第3土曜の10時~16時30分(最終入館は16時まで)に公開されるそうです。
本館の石堀と植栽はとても趣があり素敵です。
ただいま1回目の改修記念名品展を6月27日(日)まで行っています。柳宗悦の代表的な著作の名称、「木喰上人の彫刻」「朝鮮とその藝術」「陶磁器の美」「初期大津絵」「琉球の富」「物と美」「茶と美」「美の法門」をテーマとして、日本民藝館が誇る古作の逸品を一挙に公開されています。
「日本民藝館」の公式ホームページ
※公開時期につきまして変更の可能性もありますのでご確認ください。