世田谷美術館で開催中の『奈良原一高のスペイン-約束の旅』の写真展に行ってきました。
奈良原一高は1950年代後半、戦後の日本で新しい写真表現を切り開きました。
30代前半ですでに写真家として活躍し一目置かれる存在になっていた奈良原は、そこから距離を置くようにヨーロッパで自らの表現を問い直す旅に出ました。
幼い頃に暮らした長崎の街と重ねるようにスペインへの憧れを持ち、ヨーロッパ滞在中にスペインで5ヶ月あまりを過ごしました。
1960年代前半のスペインは鎖国状態を保持していたフランコ政権が観光客の誘致に乗り出しました。それにより中世の面影を残していた地方の村々も変化が始まっていました。
奈良原はスペインの人々の暮らしや文化がいずれ姿を変えてゆくことを予感しながら撮影したようです。そして、スペインにも近代化の波が流れ込みました。
写真からは1960年代前半のスペインの人々の生きざまが伝わってくるようです。
『奈良原一高のスペインー約束の旅』は1月26日(日)まで開催されています。
世田谷美術館『奈良原一高のスペイン-約束の旅』の情報
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/